マクロミル、シングルソースデータを拡張生成するデータ統合技術を独自開発、特許を取得
(コード番号:3978 東証プライム)
株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 CEO:佐々木徹 以下、当社)は、断片的なデータソースをシングルソースデータとして利活用する技術「XENESIS PRISM(ジェネシス・プリズム)」を独自に開発し、特許を取得しました。
本特許は、個人識別子(Cookieや広告ID、PII) に依存せず、実際のシングルソースデータに類似する情報を取得する方法です。別々のデータソースを統合し、高精度の擬似的なシングルソースデータを生成します。近年、デジタルマーケティングにおいて課題となっている個人識別子を用いたデータ連携の不完全性への対応や、個人情報保護/プライバシー問題に対しての、新たなソリューションとしてデータ利活用に貢献します。
【図1】 データ拡張生成のアプローチ
■データ利活用における課題と開発背景
近年、デジタルマーケティング業界において、「個人情報保護法や電気通信事業法などの法改正による法的規制」「サードパーティーCookie利用制限や、ユーザーの許諾必須化によるデータ活用の技術的規制」「消費者データ統合の際に発生するデータの断片化」という3つの問題がありました。従来はこれらを解決するために、類似データ同士を結合するデータ融合(データフュージョン)や、機械学習による予測モデル構築によって、データを補完する方法が用いられてきました。しかし、データ補完のプロセスで、相関関係がないのにあたかも相関関係があるように見えてしまう疑似相関の発生など、データの構造が変化するリスクがあり、マーケティング分析による意思決定や施策実行に悪影響を及ぼす可能性があることが課題でした。こうした課題に対処すべく、当社ではデータの統計的構造を維持するアプローチにより、データを補完することで有用なデータを生成する技術開発に着手。新たな手法を独自に開発し、特許を取得しました。
■シングルソースデータ拡張生成技術「XENESIS PRISM」の特長
1. 2つのユースケースでデータの完全性を実現
データ統合:自社や外部ベンダーが収集したデータなど、収集元が異なる断片的なデータを、データ間の共通変数(共変量)を利用して、統計的構造を維持したデータを拡張生成することで統合。
データ補完:一部のユーザーから取得できた少数のデータセットをもとに、欠測しているユーザーに対して統計的構造を維持したデータを生成することで、未取得データを補完。
【図2】 データ拡張生成のユースケース
2. 統計的構造を維持した精緻なデータを生成
拡張生成されたデータは、教師データとなる元のデータセットの統計的構造を維持しているため、集計値レベルでは平均値の誤差は約±5%に留め、データ間の関係性(多次元の分散共分散行列)も近似するため、教師元となるデータと同等にデータの利活用が可能です。
本特許の実用性を確認するために実施した機械学習モデルの予測性能の比較では、元データと生成データ間で、約-1.9%と大きな差異がないことを実証(※)。データマーケティングにおける機械学習の教師データとしても、活用に耐えうる性能があることを確認しています。
(※)Kaggleで公開済のデータセットを利用して複数の予測モデルで精度を比較。
【図3】 データ拡張生成技術のデータ特長
■展望
今後は、本特許技術を用いた調査分析サービスやデータ提供サービス、データマーケティング(CRM/CX)を支援するソリューションの展開を予定しています。当社はデータサイエンスを通じて、顧客企業のマーケティングパートナーとして、戦略的マーケティングマネジメントやデータ利活用支援を目指してまいります。
■特許概要
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
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特許番号 | 特許第7541212号(P7541212) / JP.WO2024096054.A1 |
発明の名称 | 情報処理方法、プログラム、記憶媒体および情報処理装置 |
発明の概要 | 精度良く擬似的なシングルソースデータを生成する技術 |
特許権者 | 株式会社マクロミル |
登録日 | 令和6年8月19日(2024年8月19日) |
以 上